空木岳 歓迎登山
実施日:2024年12月1日(日)
山 域:中央アルプス
行 程:5:30空木岳登山口→8:50ヨナ沢の頭→10:45駒石→11:50空木岳山頂→13:00空木岳避難小屋→14:00ヨナ沢の頭→16:30空木岳登山口
御坂山岳へ入会して初めての山岳会での山行だ。齊藤氏と羽田氏に今回の登山を企画していただいた。私は緊張と期待を胸に、富士吉田市役所の中庭に集合した。朝3時、満天の星空が私たちを出迎えてくれた。冬の冷え込みはあるものの、雲ひとつない空に「今日は素晴らしい登山日和になる!」と期待感が高まった。
齊藤氏の車で出発し、登山口に到着したのは5時過ぎ。ヘッドライトを装着し、まだ眠る森の中へと一歩を踏み出した。登山道はよく整備されており、序盤は順調なペースで歩を進めていく。しかし、途中から齊藤氏のペースに私と羽田氏が驚愕する。二人ともトレイルランニングをしているが、齊藤氏はトレランの登りのペースより早く歩を進めていた。速いペースでの登山、心臓に大きな負荷がかかり、きつさもあったが、すごく生き生きした登山となり、上っている最中ニヤニヤが止まらなかった。
歩を進めていると、少しずつ空が明るくなり、背後を振り返ると夜明けの淡い光が山々を染めはじめていた。途中の迷い尾根では、小地獄と大地獄があったが、小地獄のほうが地獄っぽいと一同首をかしげる。
そうこうしているうちに駒石への分岐へ到着した。ここから先はトレースがない状態。前日の降雪の影響か、一面がふかふかの新雪に覆われていた。
久々にアイゼンを装着する。羽田氏と齊藤氏は早々に準備を整えたが、私がアイゼン装着に時間をかけてしまう。齊藤氏からアイゼンを早く装着するコツと冬山で停滞することの危険性を教わった。
準備を整えた後、齊藤氏と羽田氏から、「ここはラッセルをやってみよう!」とお願いされ、人生初のラッセルに挑戦することになった。最初は「楽しそうだな!」と気軽な気持ちで始めたラッセル。しかし、実際にやってみると、これが想像以上に大変。腰上まで沈む雪の中を、体全体を使って進んでいくのは、まさに体力勝負。雪が重くなるとスピードが落ち、一歩一歩がとても遠く感じた。「こんなに大変なのか……!」と心の中でつぶやきながらも、後ろから齊藤氏と羽田氏が「いいペースだよ!」「無理せず、自分のリズムで!」と励ましてくれる声が聞こえ、その言葉に背中を押された。
ラッセルでかなり体力を消耗したものの、なんだかんだ楽しい時間。雪をかき分けながら進むたびに、少しずつ景色が開けていくあの感覚は、言葉にできない達成感があった。山頂直前のこの苦労も、「山に登る」という行為の一部なんだと実感した。
そして、空木岳山頂に到着した瞬間には、一気に疲れが吹き飛んだ。真っ白な雪と青空が広がる絶景が迎えてくれ、何度も「すごい!」という言葉が口をついた。15分ほど山頂の景色を楽しみ、下山を開始した。下山は快調なペースで進んだ。登りでは見えなかった景色が、下りでは新鮮に感じられるのが不思議だ。ヨナ沢の頭を過ぎる頃には、次第に陽が傾き、夕日の柔らかな光が山を包み込んでいた。
登山口に戻ったのは16時30分。長い一日だったが、達成感と満足感で心はいっぱい。帰り道では温泉に立ち寄り、冷えた体をゆっくり温めながら、今日の山行を振り返った。
ラッセルという冬山特有の体験を通じて、自然の厳しさと美しさ、そして仲間と助け合う大切さを改めて感じた今回の山行。初めての山岳会山行で、これほど心に残る一日を過ごせたのは、齊藤氏と羽田氏のおかげだ。お二人の計画とサポート、そして温かい気遣いには感謝しかない。また、山の楽しさや魅力を改めて感じることができた。
これからも御坂山岳会の一員として、たくさんの山に挑戦していきたいと思う。次はどんな山行になるのか、今からワクワクが止まらない。
(永田)