バックカントリースキーよりも山菜採り 白馬~針ノ木雪渓

実施日:2025年5月10~11日
山 域:北アルプス
参加者:中安、他一名

出発当日の朝、青木さんからラインがあり、発熱と頭痛のため起きられないとのこと。どうせ今日は雨だし、無理しなくていいよと返信する。ということで、いつものメンバー小池氏と私の二人で甲府を後にした。
白馬村の二股に着くと、予想どおりの雨。例年なら県道白馬岳線は開通しており登山口の猿倉まで車で行けるのだが、今年は雪崩と落石の危険があるため車両通行止めだ。雨の中、スキーを担いでの5.6㎞の林道歩きは御免被りたい。今日の小日向のコルまでのバックカントリースキーは中止とすることを即断した。
白馬村落倉の京都府立大学山岳会山小屋に着くと、さて、やることがない。小雨の降る中、小屋周辺の山菜採りに出掛けた。今年は雪が多かったためか、例年より山菜の発生が二週間ほど遅れているので、今が旬であった。タラの芽、コシアブラ、フキノトウ、コゴミが豊作である。スキーよりもこっちの方が楽しいかもしれない。山菜初心者の小池氏は、タラの芽だと思って採ってきたのがほとんどオオバラだったのでズッコケた。
その後、落倉自然園へ行って終わりかけたミズバショウの花を観賞し、満開のカタクリの花に男心を揺すられる。夜は、山菜の天ぷらとコゴミのお浸し、そして当会の金丸副会長の狩ってきた鹿肉のステーキで、豪華な宴を催した。二人ではとても食べきれない。青木さんが来なかったことが悔やまれる。
翌日は、扇沢から針ノ木雪渓へ向かう。扇沢の駐車場からスキーが履けるものと思っていたが、それは誤算で、扇沢から2時間半はスキーを担いで歩く羽目となった。思っていたほど雪は多くない。これなら1時間半林道を歩いての小日向のコルの方が良かった。天気が良いのが救いであった。
最後の堰堤を超えたところからスキーを履き、果てしなきシール登行が始まった。デブリが多く迷路のようでルートファインディングが難しい。そして、針ノ木雪渓は思っていたより急だった。直登困難な箇所が多く心が折れる。
赤石沢出合いまで登って時間切れ、引き返すことにする。小屋で握ってきたおにぎりを頬張った後、心臓の鼓動を抑えながらスキーを滑降モードにセットする。眼前には爺ヶ岳の円錐形の山頂が聳え立つ。
雪渓中心部はデブリが多くスキー滑降は不可能なので、左岸の上部を斜滑降で下る。雪渓末端までほとんど斜滑降しかしていない。ダイナミックなバックカントリースキーをしようと思ってきたが、夢のまた夢であった。
スキーをザックに取り付けて、重い足取りでとぼとぼと車道を下っていると、雪解け直後の地面にフキノトウが満開であった。しかし、腹の中には昨夜の山菜がいっぱい詰まっていて、今さら食べる気がしない。横目で通り過ぎて、扇沢のバスターミナルに到着する。ゲート小屋の親切なおじさんが、我々のために手動でゲートを開けてくれた。おかげで、後味の良い山行となった。
(中安)


 

2025年05月10日