富士吉田市民スポーツ祭り バスハイキング 万二郎岳
実施日:2025年5月25日(日)
山 域:天城山系
参加者:青野、内山、内山、中安、金丸、柏木、横山、勝俣、鈴木、刑部、勝俣、齊藤、高柳、青木、渡辺、他一般参加者48名、総勢63名
「雨が降っている……中止になるかもしれない」
その朝、窓の外に広がる灰色の空を見上げながら、私は心のどこかで覚悟を決めていた。はじめてのバスハイキング担当。申し込みの取りまとめ、行程の調整、FAXのやりとり。思っていた以上に細かな作業が多く、準備の段階からすでに大冒険だった。
それでも、バスが山へと向かうにつれて、空の色が少しずつ変わっていくのを感じた。登山口に到着する頃には、あの雨がすっとやんでいたのだ。まるで山が私たちを歓迎してくれているようで、ホッと胸を撫で下ろしたのを覚えている。
今回の参加者は、登山経験も年齢もさまざまな一般市民の皆さん。そんな皆さんを、山岳会のメンバーたちが心強くサポートしながら引率してくれた。山道は、昨夜の雨の影響でぬかるみ、足を取られそうになる場面もあった。さらには、下見の時にはなかった渡渉も現れ、一瞬ヒヤリとした。しかし、その都度、山岳会メンバーが手を差し伸べ、声をかけ、的確にリードしてくれた姿には、自然と信頼と安心感が生まれていた。
無事に、参加者全員が登頂を果たした時の喜びは、言葉では言い尽くせない。安堵と達成感、そして何より、皆が笑顔でいたことが、私の中で大きな報酬となった。
下山後、立ち寄った「めんたいパーク」で食べた明太子おにぎり。疲れた身体に沁みる塩気と旨味に、思わず「これぞご褒美……!」と口元がほころんだ。
そしてその夜、全てを終えて仲間たちと交わした打ち上げの一杯――あのビールの美味しさといったら、もう筆舌に尽くしがたい。静かに湧き上がる達成感とともに、全身に沁みわたるようだった。
後日集まったアンケートには、「とても楽しかった」「来年もまた参加したい」といった声が多く寄せられた。それを読みながら、準備の苦労も、雨の不安も、すべてが報われたような気がした。
山は、思い通りにはいかない。経験豊富な登山者にとっても、初めて山に挑む市民の方々にとっても、それは同じ。でもだからこそ、互いに助け合い、励まし合って踏み出した一歩一歩が、山頂の喜びをより深く、かけがえのないものにしてくれたと思う。
また来年も、このつながりと感動の山旅が続いていくことを願って。
(青野)
