中国 長白山
実施日:2025年8月8日(金)
山 域:長白山(中華人民共和国吉林省)
参加者:高柳、他2名
8/4-10の中国東北地方(大連・旅順・長春・吉林・長白山)旅行の一部を、山行記録として報告する。
(8/7)前日に二道白河へ。ここから一般的な北坡ルートは、1週間前から予約を試みても確保できなかった。長白山へのルートは北・西・南の3つあり、全て事前に予約が必要だ。8月は中国でも旅行シーズンで、とくに長白山は人気らしい。中国の街で見るミネラルウォーターは長白山の水を銘打っているものが目立ち、まさに富士山のように膾炙した存在なのだろう。結局、普段から比較的空いている西坡ルートを確保した。長春から高速鉄道で長白山駅に向かい、駅でレンタカーを借りた。
(8/8)森林を貫く道沿いに蜂蜜売りが並んでいた。道路は舗装されている。通過した露水河鎮という町では露店で賑わっていた。町外れのガソリンスタンドのトイレは、この旅唯一のボットン便所だった。
再び樹林帯に入る。河にかかる橋上で展望が開けると、大森林が見える。山はどこにあるのかわからない。まっすぐな道だが、車はだいたい60km/hで走っている。取り締まりが厳しいようだ。
松江河鎮に西側の観光拠点がある。山岳リゾート風の建物が並び、観光客で賑わっている。バスターミナルへ予約画面を見せて入場し、列を作って乗車を待つ。バスは路線バス風と観光バス風のものが混じる。立ち乗りはなく、満席になり次第順次発車する。バスと入山料で一人156.5元、ただしこの日は主要スポットの一つの錦江大峡谷で虎が出て立ち入り禁止になったとかで、入山料は半額になっていた。
標高1450mほどの地点に乗り換え場があり、ここから上へマイクロバスに乗り継ぐ。この辺りから針葉樹が目立つようになる。付近の高山花園で草原性のお花畑を見ることができるが、7月がシーズンで立ち寄らなかった。観光客はルートを外れて自由に動くことはできない。ここは北朝鮮との国境地帯だからだ。復路で、乗り換え場近くを散策しようとしたのだが、係員に厳しく制止された。
標高を上げていくと、樺の木だけになり、ついに草原になった。九十九折りの道から、広い山麓と、時折雲がかかる黒い山肌、そこを流れ落ちる白い滝が交互に見える。
駐車場は混み合い、天池への道は正月の神社の参道のような人の列である。ここに休憩所や公安施設、軽食を売る露店がある。国境警備と背に書いた軍服姿の人も歩いている。
大勢の人たちと天池を目指す。みな途中休みながら登っていく。道はしっかりと整備され、そこを外れると注意される。本当は花や虫をじっくり見たいが、がまんする。輿に乗って上がってくる人もいる。徐々に雲が増えてきた。天池は見えるだろうか。
展望台は人でごった返している。注意を促すスピーカー放送、人々の話し声で騒がしい。展望台では映える写真を撮ろうと、みな四苦八苦しているのだ。
無理に割り込んで、なんとか天池を見下ろす展望台の縁に立つと、空を映す天池の静寂が見えた。青空を雲が流れていく。2600mの峰々に囲まれた諏訪湖ほどもある湖だ(写真)。
(写真)長白山天池を西坡から眺める
展望台のすぐ東側は北朝鮮で、そのことを示す石碑がある。子供たちが敬礼して写真を撮っている。彼の国への好奇心はこちらの国でも強いようだ。長白山は朝鮮民族の聖地、白頭山である。朝鮮語を話す観光客も多い。おそらく祖国の水なのだろう、ボトルから水を撒いている人がいた。
雲が増えてきた。麓へ降ることにする。広大な裾野は、はるか平原の彼方へと連なっている。
バスターミナルに戻り、近くの店で昼食をとった。タモギタケが長白山周辺の名産のようで、塩味で炒めた一品がうまい。ブルーベリーもよくとれるらしく、甘酸っぱい味を交互に味わう。
近くの松江河国家森林公園に立ち寄った。自然林のようで、シナノキの巨木がポツポツとある。すぐ近くに住宅やゴミ捨て場が垣間見え、人の生活は近い。樹木には銘板があり、この地域の樹木の名前を知ることができた。チョウセントウヒ、チョウセンゴヨウ、マンシュウカラマツ、オウシュウアカマツが主な針葉樹だ。地元の人は無料らしく、多くの人が散歩をしていた。おじいさんらが笛を吹き、歌っていた。"Катюша"の知ったメロディに嬉しくなる。園内の木道は腐りかけている箇所もあり、恰幅の良い人が歩くと軋んでいる。そういえばこの旅で、私も東北料理で腹が大きくなった気がする。
夕暮れの来た道を戻る。二道白河鎮に戻る頃には、真っ暗になっていた。
(高柳)
