お月見山行/栂池自然園&八方尾根
実施日:2021年10月23日(土)~24日(日)
山 域:北アルプス、栂池自然園&八方尾根
参加者:中安、石川、後藤、荒井、勝俣(和)
行 程:[10月23日]6:00富士吉田市→9:30八方の湯駐車場→10:00京都府立大学山岳会山小屋(白馬村落倉)→11:20栂池スキー場第2駐車場→11:30栂池ゴンドラリフト→ロープウェイ→12:09栂池自然園駅→12:15ビジターセンター→栂池自然園→13:40浮島湿原→14:27ビジターセンター→15:40ロープウェイ→ゴンドラリフト→16:20栂池スキー場第2駐車場→倉下の湯→17:30府大小屋 [10月24日]9:10府大小屋→9:25八方の湯駐車場→9:50八方ゴンドラリフト→アルペンクワッドリフト→グラードクワッドリフト→10:25八方池山荘→11:13第2ケルン→11:23八方ケルン→11:30八方池→12:15第3ケルン→12:40第2ケルン→13:30八方池山荘→グラードクワッドリフト→アルペンクワッドリフト→14:00八方ゴンドラリフト→14:25八方の湯駐車場→17:20諏訪SA→20:30富士吉田市
【10月23日、栂池自然園】
朝6時に富士吉田を出て、白馬の八方の湯駐車場に9時半に到着。今夜の宿、京都府立大学山岳会の山小屋に前泊していた中安さんと合流する。中安さんは今夜の食材を仕入れるために、前日に山小屋に入り新潟県糸魚川市の能生漁港まで海産物の買い出しに行ってくれたとのこと。
当初の計画では今日は八方尾根、明日は栂池自然園へ行く予定だったが、まだ小雨が降っており天気があまり良くない。天気予報では今日の午後から晴れるらしいが、八方尾根からはどうしても後立山連峰の雄大な景色を見たいため、予定を変更して八方尾根は明日登ることにする。今日天気が良くなるようだったら栂池自然園を散策して、明日は青空の下、白馬三山、唐松岳、五竜岳、鹿島槍ヶ岳の雄姿を見たいと……。
そこで取り敢えず今夜泊まる山小屋に行き、天気の回復を待つことにする。山小屋は白馬村落倉の森林の中に可愛くちょこんと建っていた。室内はコンパクトに小さくまとまっていて、なんとなく落ち着く良い感じの山小屋だった。小屋の中でお喋りをしていると、11時過ぎに天候が回復してきた。そこで栂池自然園に出掛けることにする。もし雨が止まなかったとしても、栂池自然園のビジターセンターで時間を潰すこともできる。ゴンドラリフトとロープウェイを乗り継いで、栂池自然園の駅に着いたら、雨は止んでいたが一面の銀世界、20センチメートルほどの積雪にびっくり! それに風が強くて雪も舞っている。所謂吹雪だ。紅葉を楽しもうかと思ってきたのに、一気に冬山に来てしまった。栂池山荘の休憩スペースで持参の昼食を摂り、吹雪が止むのを待つが一向に止まない。あきらめて出発する。雪の栂池自然園には木道の上に一応トレースがあった。トレースを外すと雪を踏み抜き、膝まで湿原に没する。油断はできない。楠川を渡り、浮島湿原の直前でトレースが消える。他の登山者は皆ここで引き返しているようだ。白馬連峰を臨める展望湿原まではあと1時間、残念ながら引き返す。ビジターセンターに戻っても天候は回復しなかった。そこで上映中の栂池自然園の四季の映像を楽しんでから下山する。16時半に栂池スキー場の駐車場に戻る。寒かったので、倉下の湯に直行し温泉で温まってから山小屋に帰ることにする。風呂から出た時には外はもう暗かった。中安さんは「夕食の準備をする」と言って、ひと足先に山小屋へ帰って行った。私たちはその後暫くして暗い道を少々迷いながら小屋に近付くと、漆黒の森の中に山小屋の外灯がほんのりと暖かく私たちを迎えてくれた。山小屋に入るとキッチンで中安さんは調理の真最中である。私たちには「のんびりしていていいよ」と言ってくれたけど、中安さん一人にお任せでは、主婦の端くれとしては何となく落ち着かない……。
石川さんの「中安さんはそれが楽しみなんだから甘えればいいの!」のひと言で安心してお喋りに花を咲かせる。そして、宴会が始まる。美味しいワインと料理、それを何もしないでいただく。最高の贅沢である。ベニズワイガニが一人一匹ずつ出てきて、まずびっくり。そして、石川さんの突然のリクエストにより玉葱のリング揚げが。さらに、能生で仕入れた助惣鱈一匹をさばいた味噌バター風味のお鍋、秋の味覚しめじ御飯、他……。いや、本当に美味しかった。皆で会うのも久し振りだったのでお喋りは尽きない。宴もたけなわになると「そうだ、今回はお月見山行なので、月を見なくっちゃ~」と言って、皆で外に出る。樹林の隙間から空を見上げると、雲の切れ間から奇麗なお月様が輝いていた。「明日は天気が良さそうね」「八方尾根が楽しみだわ」と、囁き合った。
寒いので山小屋の中に戻り、中安さんが丁寧に挽いてくれた豆で美味しいコーヒーを味わう。暫くして気付くと、中安さんは大きなクッションに横たわって鼾を搔いている。「私たちを楽しませてくれるために疲れたんだろ~な」って思って、感謝!そこで、私たちもロフトに上がり寝ることにする。時計は既に12時を差していた。楽しい時間に余韻を残しながら眠りについた。
翌朝、目覚めると、キッチンで中安さんは朝食の準備にかかっていた。朝食はホワイトソースのスープパスタとサラダとパンと挽き立てのコーヒー。里で味わえない贅沢なモーニングセットだ。
そして、荷造りして外に出ると、空は青く澄んでいて、高原のピリッとした冷気が清々しく、私たちを出迎えた。
(勝俣和子)