絶好のスキー日和 天狗原バックカントリースキー
実施日:2022年2月14日(月)
山 域:北アルプス白馬岳天狗原
参加者:中安正議(単独)
行 程:8:30京都府立大学山小屋(白馬村落倉)→9:00栂池ゴンドラリフト→9:40栂の森リフト下車→9:50林道→10:22早大小屋→11:05成城大小屋→13:10天狗原→13:54成城大小屋→15:10栂池スキー場駐車場→15:40京都府立大学山小屋
2月11日から13日までは、白馬村落倉にある京都府立大学山小屋を借り切って、御坂山岳会メンバー六人で合宿を行っていた。12日には全員でゴンドラリフトに乗って栂池自然園までスノーハイクを行った。快晴無風の絶好のコンディションの下、白銀の白馬三山が我々を祝福するかのように見下ろしていた。夜は飲んで喋って歌って飲んで、とても楽しい三日間であった。そして13日には、私を除いて他のメンバーは帰っていった。
静まり返った山小屋にひとり、私は余った食糧をじっと見詰めていた。だが、決して寂しくはない。私は元来大勢で騒ぐのが大好きな社交的性格ではあるが、独りでも全然平気で遊んでいることができる。自分でもこの二面性は不思議に思う。16日までひとり残留することになったが、好きなだけスキーができると思うと胸がわくわくしてくる。それに、メンバーが残していった食糧で、あと三日間は食い繋ぐことができるのも嬉しかった。
林道を栂池自然園目指して登る。私の遥か後ろに単独の登山者が登って来るのが見える。林道はピステで圧雪されており快適だ。純白の白馬三山は今日も妖艶な姿を見せている。
成城大小屋を見下ろす台地で、単独の登山者に追い付かれる。スキーかと思ったらスプリットボードだった。お互い単独なので、同業のよしみでシャッターを交代で押し合う。いい写真が撮れた。
成城尾根に取り付く。硬く締まった雪の上に五センチメートルほど粉雪が積もっている。ラッセルがないのでとても楽に足が動き、いつもよりペースが速い。今回は尾根の西側の樹林帯を登る。こちらの方が傾斜が緩くキックターンなしで登れる。
天狗原に到着すると、先行した三人の登山者がいた。二人はスノーボードだ。最近、スノーボードのバックカントリーが多いな、と思いながらシールを外すが、シールが風になびいてうまくたためない。
さあ、ビンディングのヒールを固定し、ブーツを歩行モードから滑降モードに切り替えて、スキー滑降のお楽しみタイムの始まりだ。天狗原からの下り斜面には、二本のシュプールしかついていない。私のシュプールを刻める余地は十分にある。大きなパラレルターンで新雪にシュプールをしるす。五、六回ターンすると立ち止まって、自らのシュプールを画像に収める。完全に自己満足の世界である。
成城大小屋が見下ろせる地点でスキーを履いたまま雪上に腰を下ろしランチタイム。素晴らしい景色を眺めながら、今朝淹れてきたコーヒーを味わう。このひととき、最高だ。
あとは林道を経由してゲレンデを下るだけだ。一時間もかからない滑降なのだが、これが意外と肉体へのダメージが大きい。両太ももの筋肉はパンパンとなり、何回もゲレンデの真ん中で立ち止まる。
駐車場に着いてスキーブーツを脱ごうとするが腰が痛くてバックルに手が届かない。しかし、時間はたっぷりある。焦る必要はない。頭上に輝くお天道様を仰いで、今日一日の幸運に感謝する。
翌日は体にダメージが残っていたので、バックカントリースキーは自重して、御坂山岳会のメンバーが残していったリフト券でゲレンデスキーを楽しむ。白馬の山小屋に来ていただいたメンバーにも深く感謝申し上げる。
(中安正議)