楠川渓谷 沢登り

実施日:2024年7月14日
山 域:北アルプス 白馬村
参加者:中安正議
行 程: 7:24白馬村落倉・京都府立大学山岳会山小屋→8:10新楠川発電所(楠川渓谷入渓)→9:48新楠川発電所→10:26府大山小屋

 

 

7月13日、前夜の御坂山岳会の月例会で帰りが遅くなり、当日朝になって荷物の準備をはじめ、白馬へ向かう。途中、松本のカモシカスポーツに寄ってベアールの補助ロープ30mを買う。夏のファア・メンバーズ割引10パーセントに加え、ペイペイクーポン10パーセントポイント付与で実質20パーセント割引だ。これだけで、今回の山行の目的は達成された。
それはさておき、午後に京都府立大学山岳会山小屋に着いた。小屋は草に覆われていた。草刈りをしないと小屋は1年で廃墟と化してしまう。早速、草刈りの開始だ。ちなみに私は、労働安全衛生規則に基づく刈払機取扱作業者の資格を有している。小屋に常備している刈払機の取り扱いはお手のものだ。あと、チェーンソーによる伐木作業と集材機の運転の資格もある。なにもここで林業を始める気はないのだが。
さて、1時間ほど草刈りをすると、腰が痛くなった。養生しなければ明日の山行に支障をきたす。よって、岩岳の湯へ浸かって腰の回復を促す。大きな浴槽に満たされた褐色の湯の中で両手両足を伸ばす。お客は私以外誰も居ない。快感である。
7月14日朝、小屋から歩いて楠川渓谷に向かう。道すがら、オオバギボウシ、トリアシショウマ、コバイケイソウの花に目を奪われる。タマゴタケも1本発見する。今日は果敢な沢登りといきたいが、実は岩魚釣りが目的だ。新楠川発電所に着くと堰堤の下で釣り人一人発見。しかし、上流へ向かう気配はないので、私はさらに上流へ向かう。発電所の梯子をアクロバチックに下り、楠川渓谷に入渓した。実はここでかなり苦戦した。
昨日まで降り続いた雨のため、楠川はかなり増水していた。遡行意欲が一気に失せる。なら、岩魚釣りだ。と意気込んだが、釣りの支度にてまどう。渓流に仕掛けを振り込むが、なかなかうまくいかない。狭い渓流では4.5メートルの仕掛けは長すぎるような気がする。


根掛かりの回収にイライラしながら、時間だけが経過していく。そのうち、雨粒がポツポツと石を叩き始めた。「しまった。雨か」と、思う間もなく視界が霞み始めた。本降りの雨である。雨具を着てまで岩魚釣りはしたくない。引き返すことにする。今回、石川さんからいただいたビクも、新しく買ったタモも、全く役に立たなかった。
小屋に着いてから周辺を確認すると、昨日の刈り残しが目に付く。やることがないので、雨の中、再び草刈りを始める。作業を終えてシャワーを浴びて、小屋の二階の窓から外を眺めると、林道の反対側の駐車スペースにまだ刈り残しがあることに気が付く。このことが気になって、夜も眠れない。
翌朝、また草刈りに勤しむ。草刈りエリアは、どんどん広がっていく。混合油2リットル一缶が空になった。草刈りとは、やり始めるとやめられなくなるものなのだ。造林業者が、「ここまでしなくても」と言うくらい丁寧な下刈りをする気持ちが分かるような気がする。
結局、この三日間、山小屋周辺の草刈りに没頭していただけであった。


(中安正議)

2024年07月14日