奥日光国際親善ハイキング
実施日:2024年9月29日(日)
山 域:日光白根山
参加者:高柳、他3名
行 程:6:50湯元スキー場入口→7:15登山道入口→9:10天狗平→9:30前白根山→10:10避難小屋→11:10奥白根山(〜11:30)→12:30五色池→13:30前白根山→13:45天狗平→15:20登山道入口→15:45スキー場入口
つくば滞在中の宿泊施設には、日本各地に加え世界各国からの研究者が集まる。彼らとの交流は、つくば生活の大きな楽しみで、世界に同志を探す絶好の機会だ。しかし、そうした交流はコロナ後の世相が難しくしていた。
他の滞在者との交流がないまま一ヶ月が過ぎようとしていたが、一枚の張り紙が状況を変えた。インド人研究者がハイキングの仲間を募集していたのである。彼の行動力には敬服するしかない。
ハイキングの仲間はボリビア人の研究者らを加え、総勢四人となった。みな生物学のバックグラウンドを持つ科学者である。互いに英語は第二言語だが、興味関心で通じ合うからすぐに打ち解けた。
地勢に通じた私がリーダーを引き受けるのは当然の成り行きで、目的地を奥日光とし、初日は東照宮などを観光し、二日目にハイキングをすることにした。
二日目は予報よりも状況が悪く、出発時にも雨がぱらついていた。インド人の彼はヒマラヤのトレッキングをするし、ボリビア人の彼女らの住むラパスはアンデスの標高4000m近くに位置し、日本の山などわけないだろうという様子にも見えた。しかし、私には意思疎通の点で幾許かの不安もあったというのが正直なところだ。
スキー場から尾根へ上がる登山道は非常に急で、山肌も露出しており滑りやすかった。しかし快調に登っていき、予定よりも早く天狗平にでた。そこからは緩やかな尾根あるきで、カンバの林の中を進んでいく。
ほどなくして視界が開け、前白根山に至る。前白根山周辺にはカラマツが目立つ。目の前には五色沼を懐にたたえた奥白根山が聳えている。
避難小屋をすぎ、最後の急な道を登り切れば山頂である。山頂は多数の登山者で賑わっていた。多少雲は多いが、五色沼方面の視界は開け、風もない快適な陽気だった。
ところで山での我々は下界にいる時に比べオープン・マインドだ。すれ違う時は「こんにちは」と挨拶するし、軽快に世間話もする。表情はにこやかである。そんなギャップが彼らには面白く感じたようである。
休憩したあと、五色沼経由で下山を開始した。沼はコバルトブルーの水を静かにたたえていていた。紅葉は終わりかけだったが、カンバの白とシラベの黒、ときおり混じるサクラの赤が美しかった。
天狗平まで緩やかな道を軽快にくだり、最後の急な下り道に差し掛かる。大きくえぐれ、山肌を露出した道はツルツルな場所もあって時折滑るが、無事におりきることができた。私の不安は完全に杞憂だった。
一緒に山を歩くことで、より深く互いの考えを知り、私たちは出身地の違いを越えて、思考が似通っていると気がついた。そんな彼らに自信を持って美しい日本の山々を紹介できることが、とても嬉しい。
(高柳)