カリカリバーンに大苦戦 蓼科山バックカントリースキー

実施日:2025年3月8日(土)
山 域:八ヶ岳
参加者:中安、他1名

2月11日の入笠山、2月22日の根子岳に引き続き、今回も日本山岳会山梨支部の小池氏とパーティーを組んでバックカントリースキーを楽しんだ。小池氏は、私の強引な誘いに乗って、所用があったにも拘わらず、この日別の予定を変更して急遽参加となった。数日前に甲信越地方に積雪があり、今回もパウダースノーに期待して出掛けた。
シルバー料金でゴンドラに乗り、ゲレンデトップに降り立つと小雪が舞っており、蓼科山は雲の中であった。唐松林の中を登るが、スキーシュプールは見当たらない。スキーで登るのは我々だけのようだ。林道のカーブを2回ショートカットして七合目登山口に着く。雪は固く締まっており一部モナカである。下りは思いやられそうだ。
馬返しから勾配がきつくなり、ストックに頼って強引に登るので二の腕が疲れる。雪は、モナカからアイスバーンに変わり、もはやシールだけではスリップして登れなくなる。ここで秘密兵器であるスキーアイゼンを装着する。凍った雪面にアイゼンの歯が心地よく食い込み、辛うじてスキーを脱がずに登ることができた。たまたま今回スキーアイゼンを持って来て、本当によかった。
将軍平でスキーをデポし、アイゼンに履き替えて山頂を目指そうとすると、遅れて到着した小池氏が「体力の限界! もう登れません」と言う。時計を見るともはや午後1時を回っている。時間切れである。下りることにする。
下りは、登りと違うコースを取り、樹林帯をトラバースして無立木地帯を滑る。カリカリのアイスバーンである。無立木地帯は期待していたほど積雪はなく、岩が随所に露出している。無立木地帯の中ほどまで横滑りで慎重に下る。転べば止まりそうにない。取り返しのつかないことになる前にアイゼンに履き替える。
樹林帯の中をスキーを担いで下る。スキー先端が木に引っかかり、歩き難いことこの上ない。登山道に出てもアイゼンで下る。雪面がカリカリで、とてもスキーで滑れる状態にない。振り返ってふと小池氏の足元を見ると、アイゼンの片方がない。樹林帯の藪漕ぎでアイゼンを紛失したようだが、小池氏は気が付かないで下りて来たようだ。「取りに戻る?」と訊くと小池氏は「もういい」と言う。戻る気力はないらしい。紛失した場所をGPSに記憶して、雪が解けたら捜しに来ることにする。
馬返しから傾斜が緩くなったのでスキーに履き替える。これが裏目に出た。狭い登山道はカリカリに凍っており、ボーゲンでは全く制動できない。堪らなくなって林間へ逃げると、今度はアイスバーンでターンをするのも命がけである。体力はみるみる消耗していく。枝を潜り木に抱きついたりしながら、悪戦苦闘の末、七合目に到着する。そこからの林道も凍っており、ボーゲンでは止まれない。ゲレンデトップに戻った時には、ゴンドラもリフトも止まっており、ゲレンデには人っ子ひとりいない。体力の消耗が激しく、ゲレンデに出てもまともに滑れない。2回ほど転ぶ。薄暮の迫ったリフト券売り場はシャッターが締まっており、ICチップの返却ができない。玄関口のインターホンを押して、当直の従業員に返却し保証料を返してもらい、事なきを得た。
帰宅してから近所のパブへ飲みに行く計画だったが、もうそんな体力は残っていない。店にキャンセルの電話を入れて、雪の降りしきる中、車を飛ばして温泉を目指す。クラッチを踏むと足がつりそうになる。今回は、ちょっと無理をし過ぎたようだ。
(中安)


 

2025年03月08日